概要
電子部品用のパーツボックスを製作することにした。まずは全体構想、設計と材料調達。
背景と目的
私が今使っているパーツボックスは、10数年以上前に買ったもので、長年使っていると改善が必要だと思う部分が出てきた。そのため、そろそろ新しいものに入れ替えて課題を改善をしたいと思い、いろいろ探したのだが、機能、大きさ、値段など含めなかなか自分の思うような市販品が見つからなかった。そこで、やはり困ったときは自分の欲しいものを作ることにした。
今回は構想の検討、設計、材料調達を行う。
詳細
1.課題整理と改善の方針
1.1 現状の課題
現在、ある程度使う量が多い抵抗やコンデンサなどは以下のようなものに入れている。
- リード抵抗用 → リングスターSP-2800S ×2個
- E24シリーズ 10台-100k台を1区画3定数に分けて収納
- コンデンサ用 → カインズホーム製パーツボックス、型番不明
- 100p~100u程度をE6シリーズ収納
- 半導体部品等 → リングスターSP-2800D ×1個
この他の非常備品は、同じようなパーツボックスや100均のバスケットなどに雑多に入れている。
この状況で感じる課題としては、
- 平らで面積のあるタイプ(※1)は、作業中に工作スペースを占有してしまって作業の邪魔になる
- 部品すべてをぶちまける可能性がある(※2)
※1スーパーピッチシリーズ自体はとても素晴らしい製品だと思う。 ※2実際にやったことはないが気を付けないといけないためストレスを感じる
実は、1を改善しようと思って数年前にパーツボックスの蓋を取って引き出しとし、収納用フレームを作って引き出し型ボックスに改造したのだが、全然改善しなかった。なぜなら、1段あたりの部品の種類が多いため、部品を取り出す際は、部品の見やすさから引き出し全体を取り出してしまうことと、引き出し自体が大きいため、何度も出し入れするのが面倒で、結局作業机に置きっぱなしになってしまうから。
1.2 改善の方針
というわけで、改善の方針としては、以下とする。
- よく使う部品は、1段あたりの部品数が少なくて済むようにできるだけ小さめの引き出しに分類する
2.構想
収納対象は、よく使う抵抗、コンデンサ、半導体等とする。 各部品の使用頻度を考慮し、区分けの細かさなどを検討した。
- 抵抗
- E24シリーズのリード部品、チップ部品
- 10Ω台~10kΩ台は1区画2定数
- 100kΩ台は1区画4定数
- 1Ω台、1MΩ台以上は1区画8定数
- 高精度抵抗、可変抵抗、セメント抵抗など所持数が少ないものは大雑把な区分け
- E24シリーズのリード部品、チップ部品
- コンデンサ
- E6シリーズのリード部品、チップ部品
- 100pF~1uF台は1区画2定数
- 10uF,100uF台は1区画
- 100uF以上、10pF台以下は大雑把な区分け
- E6シリーズのリード部品、チップ部品
- 半導体等
現在はチップ部品の手持ち数量は少ないが、将来的には増える可能性がある。とはいえ、定数ごとの区分けさえあれば問題ないので別にボックスを用意することはしない。
3.設計
3.1 パーツボックス選定
まずは、既製品である程度そのまま使えるものを探すことにした。この手の製品は、非常に種類が多いし、お金さえ出せば、大学や企業の実験室にあるようなHOZAN製の金属製キャビネットなど、いくらでも希望をかなえられる製品はある。しかしながら、個人の趣味であることや設置場所の問題から、そういったものを買う状況にない。 結果、引き出しサイズ、引き出し数、値段を考慮して、
を選定。 価格は楽天で1800円程度と非常に安い。 引き出しの内寸は、横幅63mm程度、奥行き108mm程度、深さ39mm程度。横幅はリード抵抗がちょうど収り、奥行き3分割すると1区画に100本セット2定数を入れても収まる。深さだけは少し深いなと感じるが、浅すぎるよりはいい。
3.2 引き出しの仕切り
抵抗、コンデンサの定数の種類を考えると、PC-310の引き出しを3つに仕切る必要がある。スーパーピッチシリーズのような作りになっていれば最高だが、PC-310の価格帯を考えると仕方ないこと。別途用意することにする。 問題は、大量の枚数をどうやって用意するかだが、いろいろ検討した結果、アクリル板のオーダーカットをしてくれるヒョーシンネットという会社のサービスを見つけた。
- W61mm×H27mm×D2mm
- 後述のスポンジ厚みを考慮し横幅を決定。
- 高さは
- 角R加工、面取りなどなし
- 透明
- 100枚
で、大まかに見積もったところ2000円程度分かった。非常に安い。このサービスを使うことにした。
また、仕切り板を引き出しに固定する方法は、いろいろ迷った結果、スポンジを引き出しと仕切りの間に挟んで固定することにした。 スポンジは、手持ちのエプトシーラー10mm幅、10mm厚が使えそうだったのでこれにする。
3.3 ラベル
引き出しに何が入っているかわかるように、ラベルが必要。 印刷して作るタイプやテプラも考えたが自宅にテプラはないので、一般的な文具として売られている手書きできる紙シールタイプで十分とした。
4.材料調達
PC-310は、楽天で2個購入して約4000円。
アクリル板は、ヒョーシンネットで注文から5日程度で到着。寸法精度もばっちり。端の欠けもなかった。送料が800円程度だったが、まあよし。このカットサービスは非常に良いと思う。
ラベルは、紙の8mm * 20mm×320枚のものがホームセンターで100円で売っていたのでこれで十分。
全体で、7000円程度。これくらい出せばそれなりの既製品が買えるようにも思えるが、収納したいサイズや引き出し内の仕切り等の条件を考えるとやはり希望のものは見つからなかったので作るのが妥当だと思う。
まとめと今後の課題
電子部品用のパーツボックスを製作にあたり、構想、設計と材料調達を行った。 次回は、組み立てを行う。