概要
構築予定のホームシアターのスピーカーについて構想を整理した。
背景と目的
前回、AVアンプの調達、再生確認ができた。今回は、スピーカーについて構想を整理する。
詳細
1. 全体構想
初回に記載した通り、
出力チャンネル構成: 5.0.4ch
とする。ハイト系の4chは、設置難易度や調整自由度を考慮して、
ドルビーイネーブルドスピーカーの配置
とする。設置場所の制限からサブウーファーがないため、LFEチャンネル成分を低域再生能力のあるスピーカーに振り分ける必要がある。
これら9本分のスピーカーは、
エンクロージャー自作
によって調達することとする。理由としては、以下である。
- せっかくのマイホームなので、市販品を用いないオリジナルシステムを構築したい
- 現在、手持ちのスピーカーシステム(左右2本)で使用しているスピーカーユニットと同一品種の10cmフルレンジが5本余っており、低域再生能力を多く求めなければ9本のうち計7本を当該ユニットで賄えるため、全体の所要コストを抑えられそうで、いわゆる音色の統一という点でも悪くはない
2. フロントスピーカー(FLch, FRch)
本システムでは、LFEチャンネル再生を受け持つスピーカーが必要であるのと、通常のステレオ音楽ソースの再生にも利用するつもりなので、フロントスピーカーには低域再生能力が求められる。したがって、それなりの振動板口径とエンクロージャー容積が必要となる。手持ちの余剰ユニットは10cmフルレンジなので、要求を満たしそうにない。また、リビングにメインスピーカーとして鎮座することになるため、そこそこの見栄えも求められる。詳細な設計はあとで行うが、
- 高さ90cm程度のフロアスタンディング型で意匠面で納得のいくものにする
- スピーカーユニットは低域再生を考慮してやや口径の大きいものを使用する
としたい。
3. サラウンドスピーカー(SLch, SRch)
サラウンドスピーカーには、手持ちのスピーカーシステムを使おうと考えている。それは、約4年前に作製したフルレンジのブックシェルフ型であり、おおよその設計仕様として
- エンクロージャー容積: 8L
- 最低再生周波数: 70-80Hz程度
- リアダクトバスレフ
だった。
このスピーカーは、木材カットをお願いした業者のWebサイトへユーザー作品例として投稿したものであり、外装には自分なりに納得しているのだが、家族から新居リビングに置くなら部屋のインテリアとのマッチングを考慮せよとの注文がついたので、他のスピーカーと共通の意匠を持たせるように、せっかく頑張った外装に手を入れることになるかもしれない。また、後壁が近くにない位置に設置することになるので、背面バスレフポートよりも前面の方がよさそうだ。フロント側に移設が必要かもしれない。
4. センタースピーカー(Cch)
センタースピーカーは、設置位置としては、
- 手持ちのTVボード内
となるので、そこに収まる程度の大きさが必要である。再生帯域は男性のセリフ音声に必要そうな100Hz程度までは再生できるようにしたい。これらを考慮すると、上記サラウンドスピーカーと同程度の容積、再生帯域を持たせることにするのがよさそうだ。 ただし、頑張って低域を伸ばす設計としたところで、AVアンプのスピーカー設定でスモールを選んだら意味がない気もする。今回使用するAVアンプVSX-LX304では、スモール設定を選んだスピーカー系統にはすべて共通のハイパスフィルターカットオフ周波数が適用されるようなので、カットオフ周波数を低域が出ないであろう後述のイネーブルドスピーカーに合わせてしまうと、センターも低域がカットされる。かといってラージを選ぶほどでもない。潔く低域は諦めるべきか?悩ましい。
5. イネーブルドスピーカー(EFLch, EFRch, ERLch, ERRch)
上向きで角度をつけて設置できるような形とする。サイズ感としては、フロントスピーカー、サラウンドスピーカーの上に載せられる程度としたい。また、これらのチャンネルの必要再生帯域は、一般に150~200Hz以上が求められるらしい。そこで、
- ユニットには、手持ちの余剰品10㎝フルレンジを用いる
- 容積は再生帯域の条件を満たしながらできるだけ小容積
としたい。
6. 外形、外装コンセプト
9つのスピーカー共通の外形、外装コンセプトは以下とする。
- バッフルの左右端に丸みをつける
- バッフルの上下端を斜めカットする
- 明るい木目調のカッティングシートを貼りつける
6.1 丸みをつける狙い
で検討した回折音の低減が狙いである。半径は18mmとする。
6.2 上下端の斜めカットの狙い
回折音低減および外装カッティングシート貼り付け作業難易度を考慮したためである。今回の外装 4方向を丸めにすると、外装仕上げのカッティングシートを貼るときにバッフルの四隅の曲面にシートを貼らなければならず、なおかつ、シートの切り替えに適した位置がないため裏面を除く5面を一続きで貼る必要があり、非常に作業難易度が高くなってしまうから。
2方向を丸め、2方向は斜めカットの場合は、上下の斜めカットの端でシートの切り替えをしても違和感が出ないので、側板とバッフル面をひと繋がりの1枚と、天面、底面の計3枚に分けて貼ることができる。また、側板とバッフル面の端の曲面は単なるコーナーなので、撓みを考える必要がなく作業難易度が低い。
斜めカットの角度は、エンクロージャーサイズや全体イメージから適切な値を選ぶが、概ね30°か45°くらいがよいと思っている。
6.3 明るい木目調のカッティングシート
色味、模様は、部屋のインテリアとのマッチング、家族からの要望から決めた。 具体的にどのようなカッティングシートを用いるかは、これから検討するが、いわゆる壁紙系のものでも問題ないと考えている。 こういったところを利用してサンプル等でイメージと合うか確認してピックアップしたい。
まとめと今後の課題
ホームシアターで使用するスピーカーについて、構想をまとめることができた。次回は、いよいよスピーカーの設計、製作に移る。