概要
FDTD法で、スピーカーエンクロージャー形状による影響をシミュレーションした。
背景と目的
近々、作業デスクに設置するタイプの小型スピーカーの製作をしたいと考えている。およそ2年前に、バッフルの端を丸めた場合の効果について、FDTD法を用いて検証した。
今回は、端を丸めるのではなく、バッフル面自体を大きく丸めたような形状を検討している。バッフル全体の丸めによる効果を検証しておく。
詳細
条件
0. エンクロージャー形状のイメージ
以下のように、バッフル面全体が丸みを帯びている形を考える。
1. 条件設定
1.1 基本条件
最大解析周波数を10kHzとし、クーラン数を 0.58に決め、空間離散化幅が最大周波数の1波長の1/10となるように定めた。
- 領域の大きさ: 1m×1m
- PML: 64層
- 音速: 343.5m/s
- 密度: 1.205kg/m3
- クーラン数: 約0.58(1 / √3)
- 空間離散化幅: 3.4mm
- 時間離散化幅: 5.8usec
- シミュレーション時間: 7.5msec
- 次元: 2次元
1.2 信号
中心時刻を変えて低周波成分に制限した場合と、より高周波成分を含む場合の2種類を用意する。
- 波形: ガウシアンパルス
- 中心時刻: 1msec および 0.33msec
- ガウシアンパルス係数: a = 20.000e5 / (t0 * t0 * 400 * 400)
2. 対象のエンクロージャー
比較しやすいように、以下の3種類を用意する。
ラウンドエンクロージャー(検討対象)
- 幅: 190mm程度
- 奥行: 230mm程度
球体エンクロージャー(比較用1)
- 半径: 125mm
直方体エンクロージャー(比較用2)
- 幅: 200mm
- 奥行: 235mm
3. シミュレーション音場
音場の中心に音源(エンクロージャーバッフル面に取り付けたスピーカー位置を模擬)が来るように、エンクロージャーを配置する。また、受聴点として、作業デスクに設置し、デスクに着席することをイメージして、バッフルから約45cm離れた正面とする。

3. 結果
音圧分布の様子と、音圧時間波形、スペクトルを記載する。
3.1 低周波
3.1.1 球体エンクロージャー
エンクロージャー後面に回り込んだものが再度前面に戻ってくるが、高周波が含まれないため、エンクロージャーの外形に起因する細かな回折波はない。


3.1.2 ラウンドエンクロージャー
エンクロージャーの外形に起因する顕著な回折波はなく、球形とそれほど大きく変わらない。


3.1.3 直方体エンクロージャー
エンクロージャーの外形に起因する顕著な回折波はなく、球形とそれほど大きく変わらない。


3.2 高周波
3.2.1 球体エンクロージャー
各所で回折は発生するものの、エンクロージャー後面に回り込んだものが再度前面に戻ってくる影響の方が大きい。


3.2.2 ラウンドエンクロージャー
各所で回折は発生するものの、球形と大差ないレベル。ラウンド形状のバッフルの効果があるといえる。


3.2.3 直方体エンクロージャー
バッフル端での回折波の発生がよくわかる。

まとめと今後の課題
バッフル面の丸め効果について検討できた。製作するスピーカーの設計を進めていく。