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2024年リーディングサイアーランキング回顧

概要

JRAの2024年リーディングサイアーに関する一考察である。過去10年にわたるリーディングサイアーランキングの変遷とともに今年のランキングの意味合いおよび来年以降のトレンドについて考察した。


背景と目的

2024年もJRA全レースが終了し、リーディングサイアーランキングが確定した。本記事では、過去10年にわたるランキング変遷とともに今年のランキングの意味合いと今後のトレンドについて考察する。


詳細

1. 2024年リーディングサイアーランキング

以下は、2024年リーディングサイアーランキング上位10傑。

順位 馬名 勝馬 EI 賞金[億円] 代表馬
1 キズナ 0.383 1.87 42.5 ジャスティンミラノ
2 ロードカナロア 0.295 1.68 38.5 ベラジオオペラ
3 エピファネイア 0.251 1.45 32 ダノンデサイル
4 ドゥラメンテ 0.29 1.28 24 ルガル
5 ハーツクライ 0.276 1.99 21.5 ドウデュース
6 モーリス 0.29 1.2 21.5 ダノンマッキンリー
7 ルーラーシップ 0.261 1.36 21.1 ソウルラッシュ
8 ハービンジャー 0.255 1.64 20 チェルヴィニア
9 ドレフォン 0.275 1.22 19.4 ミッキーファイト
10 ディープインパクト 0.18 2.11 17.9 シャフリヤール
  • 1位はキズナ。昨年の展望で2‐4位グループと予想したが、勝ち馬率、EIとも改善した。重賞勝ち数が4勝から15勝に増えており、むしろ今までが勝てなさすぎたのかもしれない。賞金総額では2位との差が大きいわけではないが、ロードカナロアに比べて勝ち馬率が1割近くよく、下級レースから上級レースまでまんべんなく勝っている印象。なお、サンデーサイレンスから父仔3代でリーディング獲得は史上初とのことで、改めてサンデーサイレンス以降日本の父系がちゃんと継続するようになったと感じる。
  • 2位ロードカナロアは5年連続。昨年より出走頭数が減っているが勝ち馬率、EIは改善しており、平均的にレベルが高い産駒が多い傾向は変わらない。
  • 3位エピファネイアは、ここ数年の推移から昨年10前後と予想したがここへきて上昇したのは意外だった。勝ち馬率は昨年並みで、EIだけ大きく上昇した。G1勝ちの産駒が4頭と当たり年と考えるべきだろうか?
  • 4位ドゥラメンテは昨年リーディングを予想したが後退。勝ち馬率は悪くなく出走回数≒産駒数は昨年並みだったのに、リバティアイランド以降の有望株が出なかったことに尽きる。
  • 5位ハーツクライは、15シーズン目にもかかわらず5位に食い込んだが、ドウデュースの稼ぎによるところが大きい。
  • 6位モーリスは、昨年より1ランク上昇。勝ち馬率は悪くないがEIが低く大物が出にくい傾向なのだろうか。
  • 7位ルーラーシップはこのランク常連化している。特筆すべき点は少ないが、平均的に成績を残すタイプだろう。
  • 8位ハービンジャーは勝ち馬率が低下したが重賞勝ちがすべてG1のためランクを維持した感じ。出走回数が2割減っているのが痛い。
  • 9位ドレフォンは、順調にランクアップしてきた。ダートだけに賞金を稼ぎづらいところがあるが、ダート、安定感を武器にかつてのジェイドロバリーのようなタイプになっていくのだろうか。
  • 10位ディープインパクトは最終世代が4歳のため10位以下の種牡馬よりも勝ち数が少ないにもかかわらずランクインしたのは驚異的である。


2. 過去10年間の変遷

図2は、過去10年のリーディングサイアーランキングの変遷である。

いよいよ、産駒がほとんどいなくなったディープインパクト以降の種牡馬争いに入り、キズナロードカナロアを中心に、従来からの常連組エピファネイアルーラーシップハービンジャーにモーリス、ドレフォンが参加する構図となってきた。ディープ、キンカメ直仔系統が中心なのは間違いないが、ドレフォンのような日本になじみの薄い系統も入る余地が出てきているのかもしれない。キタサンブラックは昨年台頭してきたと書いたが、イクイノックス後の有望株がいないのか、ぱっとしない。このグラフを見ると、やはりドゥラメンテの子が今後出てこないのは改めて残念だ。


3. 今後の展望

前節までを踏まえてここでは今後の展望を行ってみたい。

3.1 トップ10展望

順位 馬名 コメント
1位-2位グループ キズナロードカナロア この2頭の争いになると思われる
3-5位グループ モーリス、ドレフォン、スワーブリチャード スワーヴリチャードが上位に食い込みそう、ほかは安定タイプ
6-10位グループ エピファネイアハービンジャールーラーシップリオンディーズドゥラメンテハーツクライ 常連+新興リオンディーズハーツクライドゥラメンテがぎりぎり粘るか
新興勢力 サートゥルナーリア、ナダル、アドマイヤマーズ、タワーオブロンドン、モズアスコット、ルヴァンスレーヴ


3.2 新興勢力

以前から毎年書いている通り、初年度100位以内であることが、将来のトップ10の目安である。特に、50位以内は、トップ10どころかリーディングを狙う器ともいえる。2022年該当馬の2023年→2024年順位変化は、スワーヴリチャード(45位→12位)、ニューイヤーズデイ(80位→39位)、レイデオロ(87位→26位)、ブリックスアンドモルタル(72位→30位)で、例年同様20-40位台まで上がる傾向であるがこの中でスワーヴリチャードの2年目12位というのは、過去のドゥラメンテ(11位)、モーリス(12位)と同程度であり、ハービンジャーハーツクライなどのトップ10常連組と同等以上であることから、来年以降トップ10常連になることは間違いなさそうだ。 2024年初年度新種牡馬で該当するのは、サートゥルナーリア65位、ナダル68位、、アドマイヤマーズ80位、タワーオブロンドン89位、モズアスコット91位、ルヴァンスレーヴ93位がいる。これらは今後数年でトップ10に顔を出す可能性が十分あるといえるので注視していきたい。


まとめ

2024年のリーディングサイアーランキングについて、過去10年の変遷および今後の展望を交えて考察を行うことができた。2025年も動向を見守っていく。