概要
デスクトップ型スピーカーの設計を行った。
背景と目的
前回、構想検討を行い大まかなコンセプトを決めた。それに基づき、今回は設計を行っていく。
詳細
1. スピーカーユニット
使用するスピーカーユニットは、後述の形式や容積、サイズ等を勘案して、以下にした。
Dayton Audio PS-95
- 約10㎝口径
- フルレンジ
- f0: 約120Hz
- 能率: 約85dB
PSは、Point Sourceで点音源を意識したものと思われる。スペックを見る限り、低域から高域までバランスよく音圧が出ていて、ニアフィールドで聞くのにちょうどよさそうだと感じた。また、1本あたり通常7000円程度であるが、幸運にもちょうどセールで2本1万円で入手できたことも決め手の一つ。
2. エンクロージャー形式と容積
構想段階で、
いろいろ勘案すると80Hzくらいまで出せればよしとする。
とした。上記のスピーカーユニットのスペックを考慮して検討した結果、以下のようになった。
- 形式: バスレフ
- 容積: 6.0L
- バスレフ共振周波数: 75Hz
- ポート径: 約45mm
- ポート長さ: 約100mm
参考として以下を掲載しておく。
3. エンクロージャー構造、サイズ、外観
エンクロージャーは、構想段階で記載した通り、ラウンドフォルムとし、バッフル端だけではなく、バッフルそのものに大きなRをつけて、側面へなめらかにつながる構造とする。
内部は以下のような構造とする。
- まず、大きなRをつけた天板、底板、中央に水平方向の補強となる中板、それらをつなぐ桟で構成する。
- スピーカーユニット取り付け部分は12mm厚のMDFを2枚重ねで24mmとし、それを奥行き35mmの桟で受ける。これまで私のエンクロージャー製作においては、基本的にスピーカーを平面のバッフルに取り付けた構造で強度を得るために板厚を増やすことで対処してきたが、今回は前後方向に肉厚の構造物を設けることでスピーカーユニットの前後方向の力をしっかりと受け止め、正確に振動板が動くことを狙う。
- バスレフポートについても、スピーカーユニットほど前後の力はかからないと思われるが、構造的に上下共通化したほうが作りやすいため、同様の構造とする。
4. 材質、外装等
エンクロージャー構造を実現するため、加工性、入手性などを勘案して、以下とした。
- 曲面部: ラワン曲げベニヤ 3mm * 3枚重ね
- 他: すべてMDF 12mm
- 外装: カッティングシート(サンゲツ リアテック TC-4296 カリン柾目)
曲面部
最小でR=106mm程度を実現しなければならないのだが、以前
で用いた2.5mm厚MDFでは全く曲げることができない。そこで、使えるものがないか探したところ、曲げベニヤという木材があることがわかった。板厚が薄いほど曲げやすく、現物を少量だけ取り寄せ確認したところ3mm厚のものが所定のRを実現できそうだとわかったので採用することにした。もちろん、3mmではエンクロージャーの板材としては薄すぎる。通常小型スピーカーを作るときはだいたい12mmくらいのものを使っているが、今回は曲げて使用するため単純な平面よりも強度が出やすいと考え、3枚重ねの9mmとする。なお、この曲げベニヤというのは業者用のサブロクサイズなどしかほとんど流通しておらず、一般のDIY用途では入手性は非常に悪いというのが難点。
他の部分
これまでの使用経験から安価で小型スピーカーにおいては十分な強度と考えられる12mmを使用する。
外装
以前のホームシアター用スピーカー
一式を作成する際に使用したサンゲツ リアテックがなかなか具合がよかったので今回も使用する。色合いは、やや赤みがかかった茶色であるカリン。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0BBPFDD3C?ref=ppx_yo2ov_dt_b_fed_asin_title
まとめと今後の課題
設計を行うことができた。次回は、いよいよ材料調達し製作を開始する。