工作と競馬2

電子工作、プログラミング、木工といった工作の記録記事、競馬に関する考察記事を掲載するブログ

田んぼ用リモートカメラ(2) 電気回路の設計・製作

概要

田んぼ用リモートカメラの電気回路を設計、製作した。



背景と目的

前回の構想に従い、電気回路を設計、製作する。



詳細

1. 仕様


2. 回路

2.1 庫内温度測定機能

庫内温度測定用温度センサは、手持ちのS-8100Bを利用。S-8100Bは廃番になっている。私の手持ち品としても最後の1個だったので、今後は後継品を使用することになるだろう。

2.2 BG96電源制御回路

BG96の電源を強制的に遮断するための回路。本来ソフトウェア(AT+QPOWD)でスリープできるはずだったが、事前検証でどうしてもうまくいかなかったので、仕方なくハードウェアを追加。

2.3 電池電圧測定機能

IO14で、BG96のリセット回路と電源電圧センシングを共用する。Unit-CAMは、使用できるGPIOが少ないため、強引に共用せざるを得なかったためだ。電池電圧センシングするためのポイントVBAT_SENSEは単純な抵抗分圧点ではなくリセット回路がつながってしまっているが、事前検証で電池電圧に対して電位がほぼリニアに変化することを確認できたので、ソフトウェアでの複雑な補正は必要なさそう。数10uAが常に電池から流れてしまう点は不本意だが、まあしょうがない。

2.4 Unit-CAMのOV2640電源制御

Unit-CAMは、回路図を見るとOV2640のPWDN端子をプルダウンしているため、OV2640はUnit-CAMに電源を供給すると常に大きな電流を消費する。電池駆動の機器として大きな問題だ。そこで、PWDN端子をESP32から駆動し、パワーダウン状態にできるように改造を施す。具体的には、

  • PWDN端子をプルダウンしている抵抗、すなわちUnit-CAMのR5を外す
  • IO2をOV2640のPWDNに接続する
  • R13でプルアップする

こうすることで、ESP32のIO2をLOWにしたときのみ、OV2640をアクティブとなり、ESP32がスリープになったときは、IO2はハイインピーダンスとなるため、R13のプルアップが効いて確実にパワーダウン状態を維持する。


3. 製作

ユニバーサル基板に実装。表面にBG96、裏面にUnit-CAMを載せた。線出しが多くてあまりキレイではないが仕方ない。(Unit-CAMにこんなにゴチャゴチャ線出しして使っている奴は居ないだろうな。) BG96モジュールは、基板端にネジ穴が切ってあるが、片方はモジュールとぶつかってしまいシルク通りの位置にネジが来ない。ここまで基板サイズケチらなくても、という感じ。

  • 表面

  • 裏面


まとめと今後の課題

田んぼ用リモートカメラの電気回路の製作ができた。次回は、ソフトウェア・クラウド部の実装を行う。


田んぼ用リモートカメラ(1) 構想および基本仕様の整理

概要

田んぼに設置するカメラの構想を固めた。



背景と目的

これまで3シーズン稼働させてきたリモート水位センサは、昨年ソーラー発電で電力を賄えるようになったが、データ通信は、当初水位の監視を目的としてSigfoxを選択して水位、電圧、温度のみを送っている。一方、リモートからより多くのデータを送信することができるとよいと考え、以前SORACOMのLTE-Mモジュールを使って、画像データを送る確認を行い、まずまずできそうだということを確認した。そこで、4シーズン目の今年は、ソーラー発電で稼働できてLTE-Mモジュールを使用して田んぼの画像を送信するリモートカメラを田んぼに設置し、成長記録画像を蓄積することとした。


詳細

1. 構想、基本仕様

このカメラの役割は、成長記録である。田んぼに設置されるためリモート水位センサと同じく電源を引くことはできない。また、初年度ということもあり実験的に稼働させたい。そこで、

  • 1日1回、定時に写真を撮影し、クラウドへ送信する
  • 電源はソーラー発電で賄う

を最低限の仕様とする。クラウド側の写真の扱いはユーザーのスマホに通知したり、ビューワーアプリのようなもので表示するなどいろいろ考えられるが、ひとまずはデータ蓄積を確実にやるために特に蓄積部分以外、用意しない。(気が向いたら何かするかもしれないが)

1.1 撮像

撮像は、LTE-Mモジュールの性能と製作コストを考慮して手持ちカメラのUnit-CAMを使用する。800×600と解像度はイマイチだが、定点観測の成長記録用には十分と考える。

1.2 通信

SORACOMのLTE-Mモジュールを使用する。

dekuo-03.hatenablog.jp

1.3 ソーラー発電

リモート水位センサと同様の構成を用いる。カメラ+LTE-Mなので、水位センサ+Sigfoxのリモート水位センサに比べて電力消費は大きい構成だが、送信回数が少ないため十分賄えると思われる。

https://dekuo-03.hatenablog.jp/archive/category/%E3%83%AA%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%88%E6%B0%B4%E4%BD%8D%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%B5%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0%20ver3%28%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%BC%E7%99%BA%E9%9B%BB%E5%AF%BE%E5%BF%9C%E5%9E%8B%29dekuo-03.hatenablog.jp

1.4 その他

田んぼへの設置であることから、防水、日射による高温対策など屋外での稼働に十分なハードウェア要件が必要だが、これもリモート水位センサと同様の構成となるだろう。



まとめと今後の課題

次回は、電気回路の設計、製作を行う。


自動車ダッシュボード上に設置するトゥイーター用の台座を3Dプリンターで製作

概要

自分が所有する車のスピーカーを交換を行うにあたり、トゥイーターの設置高さと向きを調整するための足を3Dプリンターで作製することで、ダッシュボード構造による制約を克服した。



背景と目的

私の所有する車に装着されている純正のフロントドアスピーカーは、取付位置の関係上高域の再生が難しい。そこで、トゥイーターをダッシュボード上設置可能なセパレートタイプのスピーカーに交換する。



詳細

1. 実施環境

  • 車両
    • ホンダ フリード(GB7型 2021年製)

2. システム構成

2.1 現行システム

  • 再生機
    • AVIC-RL511
  • フロントスピーカー
    • 純正フルレンジ
  • リアスピーカー
    • 純正フルレンジ

2.2 新規システム

AVIC-RL511の出力と純正配線とを変換するハーネス(カナック KLS-H807D同梱)を加工し、スピーカー信号をネットワークボックスまで取り出す。ウーファー信号は車両配線に戻してドアへ送り、ドア内でスピーカー変換ハーネス(エーモン 2079)を使用してTS-V7Aのウーファーに接続する。トゥイーターは、ダッシュボード上に固定する。

  • 再生機
    • AVIC-RL511
  • フロントスピーカー
  • リアスピーカー
    • 純正(交換なし)


2. ダッシュボード構造

ホンダ フリード(GB7)のダッシュボードは、中央手前寄りが高く、左右Aピラー近くが数cm低い。また、手前側に傾斜している。トゥイーターの取り付け位置として想定されるのは、Aピラー近くの3角窓の前だが、ここにトゥイーターを仮置きしてみると、中央手前寄りの盛り上がりに音がぶつかるような向き、高さになってしまい、乗員の頭の方向に向いてくれない。


3. 解決策の検討

トゥイーターの取り付け高さを稼ぐことと、傾斜を打ち消す必要があるため、トゥイーターに台座を付けたらどうかと考えた。形は、TS-V7Aのトゥイーター底面の大きさに合わせた円柱で、取り付け面の傾斜に合わせて斜めにカットされたようなものがあればよさそうだ。そこで、CADで以下のようなものをデザインした。 見た目は完全にレンコンだが、穴には意味がある。ややオフセット下中央の穴は、TS-V7Aトゥイーター底面の板金とねじ止めするための穴。周囲の穴は、樹脂をケチるための穴。


4. プリント

以前から使用している3Dプリンターで、プリントした。材料はPLA樹脂。 斜めの面は、3Dプリンターの積層厚みの関係でどうしても段々になってしまうので、プリント後にヤスリで均した。が、PLA樹脂のため硬くあまり平らにならなかった。しかし、両面テープの付きが均す前よりも明らかによくなったことが実感できたので良しとする。

PLA樹脂むき出しでは、見た目が良くないのと、強烈な直射日光が当たるダッシュボード上での使用を考慮して、フェルトを巻き付けることにした。100均で、シールタイプのフェルトを購入して、切り貼りした。


5. 設置

乗員の方を向けて設置できている。フェルトを巻いたおかげで、見た目もまずまず。

6. 試聴&試走

ダッシュボード上に音が広がり、各楽器の明瞭感が劇的に良くなった。トゥイーターを乗員の方をちゃんと向けて設置できたおかげだろう。試しに、走ってみたが振動でぐらつくこともなく、しっかり装着できている。



まとめと今後の課題

3Dプリンターによるトゥイーター用台座を作製し、理想的な位置にトゥイーターを設置できた。これから、車内という過酷な環境で稼働していかなければならないので、台座の様子を注視しつつ、音楽を楽しんでいきたい。