工作と競馬2

電子工作、プログラミング、木工といった工作の記録記事、競馬に関する考察記事を掲載するブログ

ソーラーパネルで発電してリチウムイオン電池を充電する回路をプリント基板化する(1) --- 基板設計 ---

概要

ソーラーパネルで発電してリチウムイオン電池を充電する回路をプリント基板化してみた。




背景と目的

以前作成した、ソーラーパネルで発電してリチウムイオン電池を充電する回路は、その後に作ったリモート水位センサ自動水やり器田んぼ用リモートカメラにおいても組み込んで使っている通り、なかなか役立っているので今後の製作でも使用が見込まれる。

dekuo-03.hatenablog.jp

しかし、毎回ユニバーサル基板で作製するのはなかなか手間である。そこで、どうせならプリント基板化してしまった方がよいのではと思ったのでやってみる。



詳細

1. 構想検討

実使用の経験を考慮して、以下の2点を要求仕様とした。

  • 従来のユニバーサル基板と同様基板上に電池を抱かせられるようにする
  • 従来のユニバーサル基板と寸法互換性を持たせながらできるだけ小さくする

1点目は、リモート水位センサの時に基板上に抱かせて実装していてこれにより機器筐体内で電池実装の手間も減らせたので、その方針で行きたい。どうしても電池を別にしたければ基板上に載せなければよいだけなので。

2点目は、他のユニバーサル基板とスペーサでつないでまとめて実装する場合を考慮。とはいえ、無駄に大きくても仕方ないので今までの72mm×47.5mm(秋月でいうところのCタイプ)ユニバーサルそのものではないがネジ位置は意識するようにする。


2. 回路設計

2.0 作成ツール

KiCad 6で行う。

約4年前に以下の記事

blog.livedoor.jp

で作成したが、そのときのKiCadバージョンとは異なるので多少の操作の違いはあるもののKiCadは私の様なホビースト含めたくさんのユーザーがおりWeb上に関連情報が豊富なので問題ないだろう。


2.1 回路図修正

まず、基板化するにあたって以前の記事に載せている回路図に足らないものを記述していく。具体的には、

  • 入出力のコネクタ
  • 電源ラインのシンボル
  • マウント穴

である。電源ラインのシンボルは、ERCを行った際に配置されていないとエラーになるので気づける。マウント穴は、基板にネジ穴を開ける予定なので、これも配置する必要がある。(配置しなくても、パターン作成の際に配置できるのでいいのだが始めからやっておくとわかりやすい)


2.2 フットプリント選択

各部品の足の穴間隔は2.54mmとした。リード部品を想定するが2012サイズで適切な仕様のものがあればそれを表面実装しようと思えばできる。(ただし、小型化には寄与しない。厚さ方向が少しだけ減る)


3. 基板設計

3.1 基板外形検討

後述の部品位置を検討しながら、収まりそうなサイズを検討したところ、Cタイプ基板の短辺側とほぼ同等の46.99mm(185mil)角の正方形の基板でいけそうだとわかった。

  • 46.99mm(185mil) × 46.99mm(185mil)

でいく。ネジ穴は、四隅にM3ネジで止める想定で、同じくCタイプ短辺側のネジ穴とほぼ同じ40.64mm(160mil)とした。


3.2 パターン作成

まず、デザインルールを検討。ソーラーパネル出力+6Vとバッテリー入出力ライン+BATTをパターン幅1mmとした。他は0.2mm(というかKiCadデフォルト値)とする。後述の発注先FusionPCBでの最小配線幅デフォルト値は6mil(0.1524mm)なので、これよりも広いので問題ない。

また、最小ドリル穴径は同様に下限が0.3mmなので、ここでは0.4mm(KiCadデフォルト値)とする。スルーホールの銅箔厚さが書いてないのでよくわからないが、大体0.5Aくらいの電流容量があるとすると今回の場合一番電流が流れるGNDであっても1個で問題はなさそうではあるが他の層と繋ぐ必要がある場合に打つ数を考えることにする。

次に、部品位置を決める。部品位置は、

https://akizukidenshi.com/download/ds/microchip/mcp73831_73832.pdf

にある 6.2 PCB Layout Issues を参考にした。MCP73831と各部品との位置関係はほぼ参考資料そのままである。基板ほとんどの面積は電池になってしまったが、ユニバーサル基板で作ってもそんな感じなので問題ない。

配線は、+6V、+BATTをまず決め、最後に細かい配線を行った。MCP73831のGNDピン配線は0.2mmで配線してあるが、C2側は後述のベタGNDで周囲が埋まるので実質この太さは関係ない。C1側とは最短ルートを確保したイメージ。

ベタGND(部品搭載面)は、基板全体に配置。浮島はなかったので特に手直しなどはせず。そもそも今回の回路は、動く信号がほぼ存在しないのでベタパターンは不要な気がするが、MCP73831のヒートシンク的役割は果たせると思う。

ベタGND(裏面)も同様に、基板全体に配置。

最後にベタにビアを追加。電池の下にある部分は部品の足から遠いので一応両面のGNDパターン同士をつないでおいた。


3.2 3Dビュー

部品の位置関係が見えて非常に役立つ。シルク被り等を発見したので微調整して作業終了。

  • 部品搭載面

  • 裏面



まとめと今後の課題

基板設計を完了した。次回は、発注に移る。