概要
デスクトップ型オシロスコープSDS1104を購入し、試用してみた。
背景と目的
私は、これまでの電子工作において、USB接続タイプのオシロスコープ
Picotechnology社のPicoScope2203
https://akizukidenshi.com/catalog/faq/goodsfaq.aspx?goods=M-02750akizukidenshi.com
を使用してきた。
このオシロスコープは、PCに接続して波形を表示するタイプで、サンプリングレート、帯域幅等の基本性能はそれほど高くないが、非常にコンパクトでオーディオ帯域程度の低周波の信号を観測する場合には十分に活躍してきた。 しかし、デジタル通信インターフェース系の信号などでは、帯域が不足していて正確に波形を表示できないことや、3ch以上の信号を同時に見たいときも時々あったため、少し不便を感じることがあった。 買ってから10年以上経過しこれまで十分な役割を果たしてきたと思えることから、新たなオシロスコープを購入したいと考えるようになった。
詳細
1. 求める性能
- 帯域/サンプリングレート
- 私のホビー用途で観たい高周波信号として考えられそうなものは、デジタルオーディオ系だろうか。I2Sのマスタークロックは48kHzサンプリングで256fsだとすると12.288MHz。矩形波に関しては観たい信号の基本波周波数の10倍とすると帯域100MHz程度は必要。したがって、サンプリングレートは帯域の数倍と考えると1GS/sec程度。
- チャンネル数
- その他機能
- 価格
- 安いに越したことはないが、とにかく他の必要な性能を満たしながらできるだけ買いやすいモノを。
2. 機種の選定
機種は、かねてより秋月電子の通販サイトに出ていたOWONのSDS1000系が非常に安いながらも上記の求める性能を持っており、気になっていた。そして、2023年8月のトランジスタ技術でも取り上げられていて、性能的に問題なさそうという記事も載っていたことなどから、
SDS1104(100MHz、1GS/s、4ch、PC連携機能あり、FFTアナライザ機能あり)
にしようと決意。購入は、Amazonで時期によって価格変動が大きかったが結果的に29,800円で購入できた。
3. 試用
3.1 プローブの調整
本体右下にあるプローブ調整用信号出力端子にプローブを接続し、プローブ側、本体側設定とも10xとして、付属の調整用ドライバでプローブの調整用ネジを回した。 以下のように4chとも正確な矩形波になったことを確認。
3.2 お試し波形観測
とりあえず、手元にあった土壌水分センサ
Gravity - 土壌水分センサ(高耐食)www.switch-science.com
の発振器出力を観測してみた。なぜこれにしたかというと、以前、土壌水分センサの動作原理が気になり調べてみたときに、PicoScope2203でうまく測ることができなかったので、比較対象としてちょうどよいから。
以下に示すように、約290kHzの信号がうまく捉えられている。この機種本来の性能から考えると、余裕過ぎるくらい低い周波数ではあるが、ひとまず今まで自分の手元で観測できなかった波形がちゃんと観測できたことは意味が大きい。
この発振器出力は、555タイマーICを使って出力されているものである。 ※使用したセンサに載っている部品は、リンク先PDFの回路図とはちょっと定数が違う。載っている部品の回路定数から算出される発振周波数は約295kHzなので、定数の誤差等を考えると観測されたものはおそらく正しいだろう。
https://dfimg.dfrobot.com/nobody/wiki/25ce0211fa0bf9fb5653d67dafcf2aba.pdf
まとめと今後の課題
デスクトップ型オシロスコープSDS1104を入手でき、以前には観測できなかった波形がちゃんと観測できた。今後の電子工作でどんどん活用したい。